やさしい俳句入門

一句作ればあとは簡単! あなたも俳句作りにチャレンジしてみませんか?
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◇知っておきたい代表的な俳句
◇俳句の作り方
◇季語
◇切れ字
◇句会とは
◇句会の歴史



 俳句とは

 俳句とは、「五・七・五」の十七音から成る短詩のひとつで、連歌(和歌)における韻律「五・七・五」と「七・七」の音節を基盤として、連歌の発句「五・七・五」の十七音が独立、発展した定型詩である。

 俳句は連歌の発句が発展して出来たものであることから、発句にとっての約束事である季語、切れ字が必用となる。また、俳句は後に続く七・七の言葉を連想してもらうため、それを読んだ人に「余韻」を残すことが大切。

 表現の対象は自然そのもの(花鳥諷詠)で、あるがままの自然の姿を描きだす客観写生であることから、俳句は、十七文字で構成される世界最短の詩といわている。

▲ 伊賀上野にある「蓑虫庵」 ▲ 蓑虫庵の室内

※「蓑虫庵」建築年…江戸時代元禄年間
 芭蕉の門人で伊賀連衆の高弟だった服部土芳の居宅。もっとも原形に近く保存された江戸時代の典型的な庵である。土芳はここで芭蕉の遺語を集めて「三草子」を執筆した。芭蕉も帰省の折には度々ここを訪れたという。

 庵開きの祝いとして芭蕉が贈った句「蓑虫の音を聞きに来よ草の庵」にちなんで蓑虫庵と呼ぶようになった。芭蕉五庵の中で唯一現存するもので、庭内にはお茶室が完備されている。



知っておきたい代表的俳句

 ◇こんな場所で俳句を一句・・・
▲ 姫路の名庭「好古園」 ▲ 由布院の喫茶「天井桟敷」

<松尾芭蕉>
古池や蛙飛びこむ水の音
五月雨をあつめて早し最上川
閑さや岩にしみ入る蝉の声
秋深き隣は何をする人ぞ
旅に病で夢は枯野をかけ廻る
松島や ああ松島や 松島や
荒海や 佐渡によこたふ 天の河

<小林一茶>
名月を取ってくれろと泣く子かな
我と来て遊べや親のない雀
めでたさも中くらいなりおらが春
すずめの子 そこのけそこのけ お馬が通る

<種田山頭火>(たねだ さんとうか)
分け入っても分け入っても深い山
もりもり盛り上がる雲へ歩む
しぐるるやしぐるる山へ歩み入る
夕立やお地蔵さんもわたしもずぶぬれ


<高浜虚子>
遠山に日の当りたる枯野かな
春の浜大いなる輪が画いてある
流れ行く大根の葉の早さかな
蓑虫の父よと鳴きて母もなし
牡蠣というなまめくものをすすりけり

<正岡子規>
柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺
もののふの河豚にくはるる悲しさよ
いくたびも雪の深さを尋ねけり
痰一斗 糸瓜の水も 間にあわず

<与謝 蕪村>
春の海ひねもすのたりのたりかな
菜の花や月は東に日は西に
葱買うて枯木の中を帰りけり
湯泉の底にわが足見ゆるけさの秋
落穂拾ひ日あたる方(かた)へあゆみ行く

<夏目漱石>
秋立つや一巻の書の読み残し
寝てくらす人もありけり夢の世に
端然と恋をして居る雛かな




 俳句の作り方

 俳句作りには、季節や旅情などのテーマを選び、抽象的で誰もが共感できる普遍的な思いをもたらすキーワードを選ぶことがポイントとなる。そうすることにより、単なる描写の句に余韻が生まれ誰もが共感できる句が出来上がる。
 短歌から発展した俳句には、伝統的に短歌のように2部形式に別けて鑑賞や作句をする傾向が残っている。

俳句作りのポイント

 日常生活や旅行先での経験、歳時記の季語などをヒントに書きたいテーマを決め、予め適切な季語をいくつか選んで手帳などに書き出しておくと、意外と簡単に俳句を作ることができる。

<季 語>
▲ 京都「東寺の五重塔」
 十七文字の文学とも呼ばれる俳句は、余韻を大事にするために必ず季語を入れる必要がある。季語とは、俳句や連歌のなかの季節を表すことばで、「春風」(春)、「夕立」(夏)、「紅葉(もみじ)」(秋)、「雪」(冬)などの類のことをいう。
古くは単に季、あるいは季の詞(ことば)、四季の詞などと云われている。

 季語は、「季題」と同じ意味に用いられるが、とくに俳句の場合に限って「季題」といい、俳諧、連歌の付句(つけく)の場合に「季語」といって、区別することもある。近年の俳句では「季語」といわれることが多い。季語は日本文学の長い歴史のなかで、徐々に成熟し、増加してきた。

 季語は我が国における風土と感情の特徴をよく表しており、ただ俳句のためだけのものでなく、広く日本文化を考えるうえでの鍵ともなるような語群を形成している。つまり、季語こそが、古来からの情緒共感の母体であると云える。  〔日本大百科全書より〕

<切れ字>
 俳句では “切れ” が重要な役割を担っている。
 切れ字には、「や」「かな」「ぞ」「ぬ」「か」「よ」「じ」「らん」「ず」「に」「へ」「じ」などがあり、 “切れ” の直前に置かれた単語が切れ字である。

<字余り>
 決まりの17文字より長くなっている句のこと。「六・五・七」や「五・八・五」、「五・七・六」などのように、1文字分余っている句のことを指す。


 句会とは

 句会は、複数の人間が自作の俳句を出し合い、評価・批評し合うために行われる集まりのこと。現在では互選句会を指すことが多いが、特定の指導者が選や講評を行う場合が多い。

句会の歴史

 江戸時代には連句「五・七・五・七・七」が作られていたが、のちに連句の発句部分「五・七・五」のみを独立させ、その出来を競う「句合」(あわせ)も行われるようになった。
 これは、座が左右に分かれてそれぞれ順番に一句ずつ句を出し合い、一句対一句の優劣を判者がつけていくもので、特に与謝蕪村の頃に盛んになった。

▲ 奈良県の吉野山山頂付近からの眺望
 また、この頃から数人が集まって句を読み合い、指導者に選を乞う「運座」(うんざ)も行われるようになった。
 1834年以降は毎月句を募って宗匠が優秀句を選出する「月次句合」(つきなみくあわせ)での恒例行事として定着した。

 その後明治になって、1891年に伊藤松宇らが互選による句会を始め、翌年の1892年にこの句会に参加した正岡子規が日本派の句会に取り入れた。

 それ以降はこの形式が定着し、現在一般に行われる互選形式の句会へと引き継がれていった。


句会の種類

▲ 松尾芭蕉の俳句「古池や蛙飛びこむ水の音」
<題詠句会>
 題詠句会とは、あらかじめ句の題が決められているの句会のこと。題は季語(季題)であることが多いが、特に季節とは関係のない場合もある。

 句会当日以前に決められて参加者に通知される題を「兼題」と言い、句会当日まで伏せられていて句会の席上ではじめて発表されるものを「席題」と言う。席題は限られた時間内に即興でつくることを目的とするもの。

<吟行句会>

 句を作るために戸外に出かける「吟行」と「句会」を組み合わせたもの。
 吟行句会では、締め切り時間まで各自で散策し、実際に景色を見ながらつくった「嘱目吟」と呼ばれる句を持ち寄って句会を行う。



「俳聖殿」

▲「俳聖殿」…三重県伊賀市
俳聖殿(はいせいでん)は、1942年に松尾芭蕉生誕300年を記念し、三重県伊賀市の上野公園(伊賀上野城)内に建てられた木造建築物。2010年に国の重要文化財に指定された。

外観は、松尾芭蕉の旅姿を模したものされ、上層の屋根が笠、下部が顔、下層のひさしは蓑と衣姿、堂は脚部、回廊の柱は杖と脚を表している。

下層八角形平面、上層円形平面の木造建築であり、屋根は桧皮葺である。内部には芭蕉祭当日に表彰される顕詠俳句特選句が飾られている。

芭蕉の命日である10月12日には、伊賀市により芭蕉祭が行われ、安置されている大伊賀焼の等身大の『芭蕉坐像』(川崎克の作)が公開されるほか、俳句の優秀作品等が表彰される。
▲ 芭蕉の草庵「釣月軒」

「虚子記念文学館」

▲ 虚子記念文学館(2000年3月開館)
公益財団法人「虚子記念文学館」は風光明媚な芦屋川の河口近くにある。

館内には、虚子の遺墨・愛用品などの他、正岡子規晩年の病床日記である「仰臥漫録」や書簡、夏目漱石の『吾輩は猫である』直筆原稿など、貴重な文学資料が多数保存展示されている。

地下には多目的ホールがあり、毎月定例で「芦屋ホトトギス句会」や「青嵐会句会」が行われている他、初心者向けの俳句講座などが開講されている。

▪住所…〒659-0074 兵庫県芦屋市平田町8-22
▪電話…0797-21-1036

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